フレットのすり合わせを考えているけれど、PLEK(プレック)と手作業で何が違うのかわからない。この記事では、PLEKを導入しているベース専門店GIBが、PLEKすり合わせと手作業のすり合わせの違いを解説します。
先に結論です。いちばんの違いは、弦を張った状態で測り、削る前に結果を確かめられることです。
| 比べる点 | 手作業のすり合わせ | PLEKすり合わせ |
|---|---|---|
| 測る状態 | 弦を外した状態で作業する | 弦を張った状態で計測する |
| 判断のもと | 目視、工具、作業者の経験 | 1/1000ミリ単位の計測データ |
| 削る前の確認 | 作業者の頭の中で判断する | コンピューター上でシミュレーションする |
| 削る量 | 減ったフレットに合わせて全体を揃える | フレットごとに必要なぶんだけ削る |
| 仕上がりの確認 | 弦を張って試奏、目視 | 再スキャンして数値とグラフで確認 |
| 記録 | 残らないことが多い | 楽器ごとにデータが残る |
そもそも、すり合わせとは
すり合わせとは、フレットの頂点を削って、高さを揃える作業です。フレットは弾くうちにすり減り、よく押さえる場所だけが低くなります。高さがばらつくと、ある場所を押さえたときに隣の高いフレットに弦が当たり、ビビりや音詰まりが起こります。
これを直すために、フレット全体を削って高さを揃えるのがすり合わせです。削ったあとは、平らになった頂点を丸く整え直します。
違い1: 弦を張った状態で測る
ベースは弦が太く、ネックには数十キロという強い張力がかかっています。そのため指板は、弦を張っているときと外したときとで反り方が変わり、複雑なうねりを起こします。
PLEKは、チューニングした、弾くときと同じ状態でネックとフレットを計測します。弾くときの状態に合わせてフレットを整えられることが、PLEKのいちばんの特徴です。
違い2: 削る前に、結果を確かめられる
PLEKは計測のあと、「どこをどれだけ削れば理想の弦高になり、ビビりが消えるか」をコンピューター上でシミュレーションします。作業の内容を決めてから削るので、削りすぎを避けられます。
違い3: 削る量を必要なぶんに抑えられる
フレットは削るほど低くなり、いずれ打ち替えが必要になります。PLEKは、フレットを1本ずつ、弦ごとに必要なぶんだけ削り、同時に頂点の成型まで行います。削る必要のないフレットまで削ることを避けられるので、フレットを長く使えることにつながります。
違い4: 仕上がりを数値で確かめられる
加工のあとにもう一度スキャンして、狙いどおりに仕上がったかをグラフで確認します。下は、GIB兵庫店でPLEKによる施術をしたベースの、加工前と加工後の計測画面です。


一度PLEKを通した楽器のデータは記録されます。将来フレットがすり減ったり、ネックが動いたりしても、理想的な状態を数値として再現できます。
変わらないこと
PLEKを使っても、手作業と変わらない点もあります。
- フレットを削る作業であること: 削った部分は元には戻せません。
- 仕上げは人が行うこと: ナットや弦高などのセットアップは手作業です。
- 目指す状態は人が決めること: どんな弦高、どんな弾き心地にするかは、弾き方や好みを伺って決めます。
PLEKの開発チームも、機械と人の関係を次のように話しています。
Plekのソフトウェアには弦楽器に関する何世紀にもわたる経験が凝縮されています。このマシンが行っているのは、非常に熟練した経験豊富なギター職人が行うことと同じなのです。(Michael Dubach氏)
また、「人の手のほうが良いと感じる部分は」という質問に、創業者のGerd Anke氏は「手作業によるフレットの磨きです」と答えています。PLEKは人の代わりではなく、人の判断と作業を、正確なデータと加工で支える道具です。
GIBのPLEKすり合わせ
GIBでは、PLEKスキャン、PLEKすり合わせ、セットアップ(ネック・弦高・ピックアップの高さ・オクターブ・ナットの調整)をまとめたフルセットを¥18,700で承っています。日々ベースを扱っている専門店のスタッフが、データを見ながら仕上げます。
すり合わせが必要かどうかわからない場合は、まず計測だけを行うPLEKスキャン(¥4,400)で状態を確かめられます。
あわせて読む: PLEK(プレック)とは? / PLEKの料金はいくら?
まとめ
- PLEKすり合わせは、弦を張った状態で計測し、削る前にシミュレーションで結果を確かめます。
- フレットごとに必要なぶんだけ削るので、フレットを長く使えます。
- 仕上がりは再スキャンして数値で確認でき、データも残ります。
- 目指す状態を決めることと、最後の仕上げは、人が行います。