PLEK(プレック)が気になっているけれど、料金に見合う効果があるのか、弱点はないのか。この記事では、PLEKを導入しているベース専門店GIBが、メリットとデメリットの両方を正直にまとめます。
先に結論をまとめると、次のとおりです。
| メリット | デメリット |
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そもそもPLEKとは
PLEKは、ギターやベースを演奏時と同じようにチューニングした状態でセットし、ネックの反り、フレット1本ずつの高さ、弦高を1/1000ミリ単位で計測するドイツ生まれの機械です。計測するだけでなく、その結果をもとにフレットを必要なぶんだけ削る「すり合わせ」まで行えます。
開発元によると、世界で稼働しているPLEKは約200台です。
PLEKのメリット
メリット1弦を張った、弾くときの状態で測れる
弦を張ったネックには大きな張力がかかっていて、弦を緩めたときとは反り方が変わります。PLEKは接触式のセンサーで、チューニングした状態のままネックとフレットを計測します。実際に弾くときの状態をもとに調整できることが、PLEKのいちばんの特徴です。
メリット2弾きにくさの原因が、数値とグラフで見える
「なんとなく弾きにくい」「このあたりだけビビる」といった感覚の原因を、弦ごと・フレットごとの数値で確かめられます。ネックがどこからどのくらい反っているのか、どのフレットが高いのかが、グラフで一目でわかります。
GIBでPLEKを受けたお客様からも、「自分では気づけなかった弾きにくさの原因が明確になりました」「不満は無いベースでしたが、診断データを見ると想像以上にネックがねじれていたり、フレットが低い状態だったことに驚きました」という声をいただいています。
メリット3フレットを削る量を、必要なぶんに抑えられる
PLEKは、どのフレットをどれだけ削るかを、加工の前にコンピューター上で確かめます。そのうえで専用の刃が1本ずつ削るため、削る必要のないフレットまで削ることを避けられます。フレットは削るほど低くなり、いずれ打ち替えが必要になるので、削る量が少ないことはフレットを長く使えることにつながります。
メリット4仕上がりを数値で確かめられる
加工のあとにもう一度スキャンするので、狙いどおりに仕上がったかをグラフで確認できます。下の画像は、GIB兵庫店でPLEKによる施術をしたベースの、加工前と加工後の計測画面です。


メリット5計測データが残る
スキャンしたデータは楽器ごとに記録されます。次に調整するときに前回の状態と比べられますし、基準にしたい一本の数値を目標にして、ほかの楽器を調整することもできます。
PLEKのデメリット
デメリット1受けられる店が限られる
PLEKは世界で約200台しか稼働しておらず、導入している店は多くありません。近くに導入店がない場合は、楽器を送るか、受付店に預けることになります。GIBでは、PLEK本体のある兵庫店へのお持ち込みのほか、GIB横浜・TONIQ横浜でのお預かり、郵送でも承っています。
デメリット2調整だけの場合より費用がかかる
PLEKによる計測やすり合わせを加えると、そのぶん料金は上がります。GIBの場合、セットアップ(ネック・弦高・ピックアップの高さ・オクターブの調整)だけなら¥4,400、PLEKスキャンとPLEKすり合わせまで含めたフルセットは¥18,700です。
フレットの状態に問題がなければ、すり合わせまでは必要ないこともあります。その判断のためにも、まず計測だけを受けてみる方法があります(後述)。
デメリット3機械だけでは仕上がらない
PLEKが出すのは正確なデータと、正確な加工です。そのデータをどう読み、どんな状態を目指すかは、操作する人が決めます。ナットや弦高などの最終的なセットアップも手作業です。つまり、仕上がりは担当者の知識と経験に左右されます。
これはPLEKの開発チーム自身も認めていることです。GIBからの質問に、サポート責任者のNick Gloeckner氏はこう答えています。
「完璧なギター」は実際には存在しません。プレーヤーの好みは大きく異なり、ある人が完璧だと思うセッティングを、別の人は好まないこともあります。だからこそ、PLEKで加工する前に、プレーヤーの意見と演奏スタイルを考慮することが最も重要なのです。
また、「完璧にPLEK調整された楽器でも、人の手のほうが良いと感じる部分はありますか」という質問に、創業者のGerd Anke氏は「手作業によるフレットの磨きです」と答えています。
デメリット4何でも直せるわけではない
PLEKが得意なのは、ネックとフレットの状態を測り、フレットの高さを整えることです。次のような場合は、PLEKだけでは解決しません。
- フレットがすり減って残りが少ない場合(すり合わせではなく、フレットの打ち替えが必要です)
- トラスロッドで調整しきれないほどネックが反っている、ねじれている場合
- ピックアップや配線など、電気系統が原因の不調
楽器の仕様によっては、対応が難しかったり、追加料金がかかったりすることもあります。GIBでは、ファンフレット仕様のベースは+¥11,000で対応しています。
デメリット5一度整えても、楽器は変化していく
ネックは木でできているので、整えたあとも動きます。ネックが反る主な要因について、Nick Gloeckner氏は「弦の張力、気候の変化、そして湿度」と答えています。弦のゲージやチューニングを変えたときや、季節が変わったときには、ネックや弦高の再調整が必要になることがあります。
また、すり合わせはフレットを削る作業なので、削った部分は元には戻せません。PLEKは削る量を必要なぶんに抑えますが、この点は手作業のすり合わせと同じです。
PLEKが向いている人、向いていない人
向いている人
- 弾きにくさやビビりの原因がわからず、はっきりさせたい人
- 弦高を下げたいが、ビビりが出て諦めている人
- 特定のフレットや特定のポジションだけ、音が詰まる人
- 大事な楽器のフレットを、できるだけ削らずに長く使いたい人
- 複数の楽器の弾き心地を揃えたい人
向いていない人
- フレットが大きくすり減っていて、打ち替えが必要な状態の人
- ノイズや音が出ないなど、電気系統の不調を直したい人
- 今の弾き心地に不満がなく、状態を知る必要も感じていない人
迷ったら、スキャンだけ受けてみる
PLEKは、計測だけを受けることもできます。GIBの「PLEKスキャン」は¥4,400で、ネックとフレットの状態を計測し、診断するコースです。結果を見てから、調整やすり合わせに進むかどうかを決められます。
新品の楽器でも、PLEKで改善できる余地のあるものは多くあります。「自分の楽器はどうなのか」を知るだけでも、次に何をすべきかがはっきりします。
まとめ
- PLEKのメリットは、弾くときの状態で計測でき、原因と仕上がりを数値で確かめられること、そしてフレットを削る量を抑えられることです。
- デメリットは、受けられる店が限られること、費用がかかること、仕上がりが担当者に左右されること、何でも直せるわけではないことです。
- 迷ったら、まずスキャンだけ受けて、自分の楽器の状態を知るところから始めるのがおすすめです。